「プロテインを飲むタイミング」について徹底解説!
「あなたは今日から3つ星レストランの料理人です。一流の食材を使ってお客様を満足させる料理を作ってください。」というお題を出されたら、実現できますか?
急に何の話ですか?と思った方も多いはず。このお題はかなり無理がありますね。
しかし、こんな場合はどうでしょうか。「あなたはトレーニーです。トレーニングプログラム、食事管理、サプリメントの各項目を自分で活用して、最高の身体を作り上げてください。」というお題を出されたら、あなたは自信を持って答えられますか?
よい材料で最高の料理をつくるのが料理人だとしたら、トレーニングと食事、生活習慣のマネジメントで最高のコンディションをつくるのがトレーニーです。せっかくのよい素材を無駄にしないように、プロテインはどんなタイミングで飲めば効率がよいのかについて再度考えてみましょう。
プロテインを飲むタイミング
プロテインはホエイ(牛乳の乳清)、大豆などを主原料としたタンパク質を効率よく摂取できる栄養補助食品であることはご存じかと思います。
サプリメントとして商品化されている時点で、ある程度吸収効率はよくなっていますが、さらに効率をよくするにはどのようなタイミングがよいのでしょうか。
①運動後のゴールデンタイム
プロテイン摂取のゴールデンタイムは運動後から30分〜1時間程度と言われていますが、その理由はなぜなのでしょうか。
筋肉に負荷のかかる運動(レジスタンストレーニング)をおこなった後、体内では主に肝臓でIGF-1(インスリン様成長因子1)という成長に必要な成分の分泌が高まったり、成長ホルモンやテストステロンといったホルモンの分泌量が増えます。この3つは身体の中で筋肉の成長やタンパク質合成のキッカケとなる役割があります。ただし、あくまでも身体づくりのシグナルでしかないため、結果として身体を成長させるためには組織の材料となるタンパク質を中心とした栄養素の補給が必要になります。
だからこそ、身体づくりに取り組んでいる方はこのタイミングで吸収しやすい状態のタンパク質食品を摂るのがおすすめという訳ですね。
②おやすみ前
IGF-1(インスリン様成長因子1)や成長ホルモンの分泌が高まるもうひとつのタイミングは睡眠中です。私たちの身体は深い睡眠段階である「ノンレム睡眠」状態の時に、成長のキッカケをもたらしてくれています。夕食時に十分なタンパク質を補給できなかった場合や、1日の合計摂取量が不足していそうな方はこのタイミングも活用できるのではないでしょうか。
1日の終わりにタンパク質を中心とした適切な栄養補給ができていると、身体は成長のためのよい材料が揃っていることになりますので、身体づくりのサポートになるということですね。
タイミングと血流の関係
先述した「運動後から60分」と「おやすみ前」の2つの間にある共通項目は内臓の血流量です。安静時の内臓への血流量は心拍出量の50%に及ぶこと、また最大運動時の内臓への血流量は安静時の20%程度まで減少することが明らかになっています1)。
トレーニング後は筋肉や抹消の毛細血管へと血流が集まります。内臓への血流量が安静時の20%まで減っているときに、いくら消化吸収の負担が少ないプロテインとはいえ、タンパク質を効率的にうまく消化吸収できるとは考えにくいですよね。
運動後、あわててプロテインを飲まなくてもゆっくりクールダウンをしたりストレッチをしたり、シャワーを浴びて着替えたとしても60分以上かかることは少ないはず。落ち着いて身体に負担が少ないタイミングで飲むことで、より効率的に摂取できるのではないでしょうか。
おやすみ前に関しては、プロテインが消化吸収される時間を考慮し最低でも入眠の1時間ほど前には補給を終えておきたいところです。
大豆由来のソイプロテインを飲んでいる方はホエイプロテインに比べて、食物繊維で消化の時間が増えるため、もう少し余裕を持ちましょう。
「内臓に十分な血液量がありしっかり働けるタイミング=プロテインを飲むのにおすすめのタイミング」と考えてみてください。
まとめ
身体はすべてつながっていて、効率を求める真摯なトレーニーこそ、全体に配慮して計画を組む必要があります。
プロテインは身体づくりにとてもよい材料のひとつではありますが、利用する方によってメリットを活かしきれるかどうかが変わります。
今回の記事を参考に身体と向き合いながらトレーニングをがんばってくださいね!
参考文献
1)福場良之. (2007). ヒト運動時の腹部内臓血流応答. デサントスポーツ科学= Descente sports science, 28.