トレーニーの必須アイテム!?クレアチンの重要性とは?
クレアチンは多くのアスリートやトレーニーたちに愛用されています。主に高強度の運動時にエネルギー源となる栄養素で、国際スポーツ栄養学会(ISSN)も筋力やパフォーマンスの向上を目指すアスリートに推奨する立場を示しています1)。今回はなぜクレアチンを活用するとよいのか?そして、その重要性とメリットに焦点を当ててみましょう。
クレアチンとは?
クレアチンは主に筋肉に存在し、エネルギー源として働く栄養素です。食事から摂れるものと体内で複数のアミノ酸から生成されるものがあります。体内での生成は主に肝臓、腎臓で3種類のアミノ酸(アルギニン、グリシン、メチオニン)を利用して合成されます。
また、食材では肉や魚に豊富に含まれており、食事から摂る場合は動物性のタンパク質を中心としたメニューであれば問題なく摂取できるでしょう。筋肉内には「クレアチンリン酸」として貯蔵されており、筋肉のエネルギー供給に関与します。
クレアチンの働き
人間の身体には3つのエネルギー供給システムがあります。有酸素系、解糖系、ATP-CP系です。これだけ言葉を並べられてもよくわからないと思いますので、ひとつずつ解説していきましょう。
有酸素系
有酸素系は主に酸素を利用したエネルギー回路です。運動で言えば、マラソンのような長時間の運動で利用されます。筋肉や肝臓に蓄えられた糖質(グリコーゲン)を代謝して、ATP(アデノシン3リン酸)というエネルギーを作ります。
解糖系
解糖系は短時間で中強度から高強度の力を発揮する場面で利用されるエネルギー回路です。 ダッシュ、ウェイトトレーニングなどが該当します。 こちらも体内の糖質を分解し、エネルギーとして利用します。この過程で乳酸が発生します。
よく疲れて身体が動き辛くなると「乳酸が溜まる」という表現をしますが、乳酸自体が疲労を招いているワケではありません。強度の高い運動の過程で代謝された物質で、有酸素運動時のエネルギーとして体内で再利用されることがわかっています。
ATP-CP系
クレアチンがエネルギー源として働くのは、0秒〜8秒程度の超短時間の運動です。ボディメイクに勤しむトレーニーやコンマ何秒のベストを目指して活動するアスリートにとって、瞬発力やパワーが重視される運動は、言わずもがな自身の最大出力に近い場面でしょう。
クレアチンの大部分(95%)は「クレアチンリン酸」という形で筋肉に貯蔵されています。酸素などの媒介を必要とせず即座にエネルギーを生み出すことができますが、その容量は限られているため、サプリメントを活用して日ごろから定期的にクレアチンを摂取し、体内に充実させておくのが理想的ですね。摂取量は1日5~10g程度を目安にするとよいでしょう。
クレアチンを活用するメリット
特におすすめしたいのは、日常的なパフォーマンスを上げたいと考えているトレーニーです。クレアチン摂取によって、トレーニングやパフォーマンスにどのような影響があるのか文献を参考にしながらご紹介していきます。
筋力とパフォーマンス向上のために
短期間の高強度トレーニングを行う際、クレアチンの短期間の定期的な摂取は筋肉へのエネルギー供給をサポートし、パフォーマンスアップを目指すアスリートに好影響を与える可能性が示されています1)。 身体には特異性の法則、過負荷の法則という原理原則があります。
特異性の法則は特定の条件下でおこなわれる運動の刺激に対して、身体が反応し、パフォーマンスが向上するという原則です。過負荷の法則はトレーニング効果を得るためには、従来の負荷よりもさらに高い負荷を加えて、段階的にトレーニングレベルを上げる必要があるという法則です。
クレアチンは高強度トレーニングの際に力を発揮するエネルギー源ですから、トレーニングの水準を引きあげた結果、身体には特異的かつ過負荷の刺激が加わるため、基礎的な筋力や筋持久力などのパフォーマンス向上を目指したい方におすすめです。
回復とケガの予防を重視する方に
運動前に炭水化物とクレアチンを合わせて補給しておくと、炭水化物単体の摂取と比較して、筋肉中のエネルギー源であるグリコーゲンの回復が優位になる可能性が示唆されています2)。
またコンディション維持のためには、トレーニング後のクレアチン摂取が有用であることも示唆されています3)。 研究結果はあくまで参考としてご覧いただければよいのですが、ケガやコンディションの低下は結果としてパフォーマンスの低下につながります。
できるだけよいパフォーマンスを維持するためにも、激しい運動に備えて事前に適切な栄養補給をしておくことは、トレーニーにとって非常に大事な要素のひとつですね。
まとめ
クレアチンは国際スポーツ栄養学会もそのメリットを公文書化しているほど、アスリートと相性のよい栄養素なのです。
エネルギーがないと車が走れないように、人間の身体にも運動のレベルや強度に適したエネルギーがあります。きっとクレアチンは、がんばるあなたをサポートしてくれる栄養素チームの一員になってくれるでしょう。
参考文献
1) Kreider, R. B., Kalman, D. S., Antonio, J., Ziegenfuss, T. N., Wildman, R., Collins, R., Candow, D. G., Kleiner, S. M., Almada, A. L., & Lopez, H. L. (2017). International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 14, 18.
https://doi.org/10.1186/s12970-017-0173-z
2) Nelson, A. G., Arnall, D. A., Kokkonen, J., Day, R., & Evans, J. (2001). Muscle glycogen supercompensation is enhanced by prior creatine supplementation. Medicine and science in sports and exercise, 33(7), 1096–1100.
3) Greenwood, M., Kreider, R. B., Melton, C., Rasmussen, C., Lancaster, S., Cantler, E., Milnor, P., & Almada, A. (2003). Creatine supplementation during college football training does not increase the incidence of cramping or injury. Molecular and cellular biochemistry, 244(1-2), 83–88.